【 飲食店の就業規則サンプル 】
今回は、求職者等に対するハラスメントを防止し、会社の方針に沿った適切な採用面接を行うための条文例を、そのポイントとあわせてご紹介します。
004:求職者等に対するハラスメント対策
条文例
第○条(求職者等に対するハラスメントの禁止)
1 会社は、採用選考その他の求職活動等において、求職者等の人格及び尊厳を尊重し、セクシュアルハラスメントその他のハラスメントを防止するために必要な措置を講じる。
2 従業員は、求職者等に対して、性的な言動その他人格及び尊厳を傷つける言動を行ってはならない。
前提|求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策の義務化
2026年10月1日から、求職者等に対するセクシュアルハラスメントを防止するため、事業主に必要な措置を講じることが義務づけられました。
これにより、会社は従業員に対するハラスメントだけでなく、採用面接や店舗見学など、求職者等と接する場面においても、セクシュアルハラスメントを防止するための体制を整える必要があります。
まずは、就業規則等に求職者等に対するセクシュアルハラスメントの禁止方針が明記され、従業員に周知されているかを、自社の規程と店舗での運用の両面から確認することが大切です。
この条文のポイント
1 懸念 採用面接を担う店長への教育が十分でない可能性
飲食店では、人事部門だけでなく、各店舗の店長などが、主にパート・アルバイトの採用面接を担当することも少なくありません。
しかし、店舗運営や従業員の指導には経験があっても、採用選考におけるコンプライアンスやハラスメント防止について、十分な教育・研修を受けているとは限りません。
その結果、本人に悪意がなくても、面接中に交際相手の有無を尋ねたり、採用に必要がないにもかかわらず応募者に個人のLINEを教えるよう求めたり、面接後に私的な食事へ誘うメッセージを送ったりするなど、採用面接において不適切な言動が生じるおそれがあります。
2 改善 教育と仕組みづくりで、適切な採用面接につなげる
会社としての防止方針を明確にする(第1項)
就業規則には、法令で義務づけられた求職者等に対するセクシュアルハラスメントの防止方針に加え、その他のハラスメントについても防止することを明記します。
そのうえで、採用面接を担当する店長などに対し、ハラスメントに該当する言動や避けるべき質問、その理由について教育を行い、適切な面接に必要な知識と理解を深めてもらいます。
面接担当者が守るべきルールを明確にする(第2項)
セクシュアルハラスメントだけでなく、求職者等の人格や尊厳を傷つける言動も禁止することで、会社としての行動基準を明確にします。
面接時の質問内容に加え、応募者との連絡方法や私的な接触についても、具体例を示して注意点を伝えることが大切です。
さらに、会社として共通の面接シートを作成し、原則としてその質問項目に沿って面接を進める仕組みを整えることも有効です。
担当者自身の理解を深める「教育」と、不適切な質問が生じにくい「仕組みづくり」を組み合わせることで、個人の経験や判断だけに依存しない採用面接につなげていきます。
3 結果 会社の方針に沿った採用面接を実現する
面接担当者がハラスメントに関する正しい知識を身につけ、共通の面接シートを活用することで、不適切な質問や言動が生じるリスクを減らすことができます。
また、面接の進め方や質問内容に一定の基準ができることで、担当する店長によって対応が大きく異なることを防ぎ、会社の方針に沿った採用選考につながります。
求職者が安心して面接に臨める環境を整えるとともに、現場の店長も迷わず、適切な採用面接を行いやすくなります。
4 補足
法令で義務づけられた防止措置も確認しましょう
2026年10月1日から、事業主には求職者等に対するセクシュアルハラスメントを防止するため、11項目の措置を講じることが義務づけられています。
就業規則に禁止方針を定めるだけで、対応が完了するわけではありません。
相談窓口の整備、面接時のルールの明確化、相談があった場合の適切な対応など、必要な措置について、下記の厚生労働省資料をご確認のうえ、自社での整備を進めてください。
参考資料:厚生労働省「求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策の義務化」
事業主が講ずべき11項目を掲載しています。
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662576.pdf
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