【 ととのえ飲食コラム 】

今回は、店長が社用の端末や情報を外に持ち出すときのリスクと、会社が整えるべきルールと教育について考えてみました。

店長の「続きは家でやるか…」が、実は一番危ない

「家のパソコンのほうが早いし、続きは家でやるか…」

そんな独り言を言いながら、店長がシフト表をUSBに入れて鞄に入れる。仕事熱心な店長ほど、やってしまうことです。店長には、社用のスマホやパソコンも、個人の管理で持たせている会社が多いと思います。一般社員から店長になった瞬間、端末や情報を外に持ち出せる立場に変わるのです。

カフェに、電車に、居酒屋に…持ち出した先で

他にも、リスクのありそうな場面を考えてみます。カフェでシフトを組めば画面は横からのぞかれます。移動中のオンライン会議は声が周りに筒抜けです。さらに怖いのが紛失です。飲み会の帰りに電車の網棚へパソコンを置き忘れる。タクシーにスマホを落とす。居酒屋の席に鞄ごと置いて帰る。困るのはそのあとです。報告のルールがないと、「探せば見つかるかも…」「怒られるかも…」と言い出せず発覚が遅れます。

情報流出そのものが、会社の信用を揺るがす最大のリスク

では具体的に、会社にとって情報流出がどのような損害につながるのでしょうか。端末に入っているのはシフト表・発注の履歴・食材の卸値・店の売上です。シフト表が外に出れば誰がいつどの店にいるかが分かり、スタッフへのつきまといや迷惑な勧誘につながりかねません。卸値や仕入先が競合に渡れば仕入れの条件で不利になります。売上が知られれば家主や取引先との交渉で足元を見られます。

そして中身がどんな情報であれ、流出したという事実そのものが会社の信用を大きく落とします。「あの店は情報の管理が甘い」という評判は取引にも採用にも響きます。

個人の管理不足を追及するより、ルールと教育を整える

だからこそ情報セキュリティは個人の注意力を責めるのではなく、会社がルールと教育を整えて守ります。最終的に守るのは店長自身の意識です。その意識をつくるために教えることは3つあります。

①どんな流出の場面があるのか
②その流出が会社にどのような損害をもたらすのか
③流出を防ぐための考え方とアクション

①②はここまで見てきたとおりです。③では、たとえば次のようなことを伝えます。

・端末には必ず画面ロックをかける
・データはUSBなどに移さず会社が決めた作業場所だけで扱う
・公共の場では画面を開かず、仕事の話もしない
・なくしたら、探している途中でもその時点ですぐ報告する

「報告すれば責めない」と決めておけば、「怒られるかも…」で報告が遅れることもありません。

「言わなくても分かるだろう」は通じない

「端末は置いて帰らないでね」「なくさないでね」と口頭では伝えている会社は多いと思います。ただ単発の声かけだけでは、なかなか意識までは高まりません。会社にとっては当たり前のことでも、店長は教わっていなければ知りません。なくしたら会社がどこまで困るのかも、言われなければ伝わりません。そして、これらを伝えるのは会社の教育責任です。おすすめはシフト作成などの管理業務を任せるタイミング、あるいは社用端末を貸与するタイミングで、30分から1時間ほどきちんと時間をとって教えることです。このコラムの内容をそのまま題材の叩き台として使っていただいて大丈夫です。

情報流出は起きてから対応するのでは遅いものです。任せる前に教えておく。それが店と店長の両方を守る一番確実な備えです。


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