【 飲食店の就業規則サンプル 】
今回は、店舗ごとのハウスルールを会社のルールとして整える条文例を、そのポイントとあわせてご紹介します。
001:会社における「ハウスルール」の取扱い
条文例
第○条(ハウスルールの取扱い)
1 会社は、各店舗の運営上必要な事項について、法令及び就業規則その他会社の諸規程に反しない範囲で、店舗ごとのハウスルールを定めることがある。
2 ハウスルールは、就業規則その他会社の諸規程に定める事項を、店舗における運用上わかりやすく抜粋し、又は具体化することを基本とする。
3 店舗責任者は、店舗独自の事情により新たなルールが必要と認める場合、会社にその制定又は変更を提案することができる。
4 店舗責任者その他の従業員は、会社の承認なく、ハウスルールを制定し、変更し、又は廃止してはならない。
5 ハウスルールと、法令又は就業規則その他会社の諸規程の内容が異なる場合は、法令又は就業規則その他会社の諸規程を優先する。
6 会社は、承認したハウスルールを、掲示その他の方法により、当該店舗の従業員に周知する。
この条文のポイント
1 懸念 店舗ごとにルールがばらばらになってしまう
「A店では認められているのに、B店では禁止されている」「前の店長のときは問題なかったのに、店長が替わったら禁止された」。そんなことはありませんか。
ハウスルールは、日々の業務で守ることを確認しやすくする便利なものです。ただ、店長がそれぞれの判断でルールを作っていくと、まかない、休憩、シフト変更、身だしなみなど、日常的なルールほど店舗ごとに差が出ます。
ローカルルールが増えるほど、会社としてどんなルールがあるのかを把握しにくくなり、店舗間で統一した労務管理もできなくなります。
2 改善 働き方のルールを就業規則に一本化する
ハウスルールは、就業規則の抜粋にする(第1・2項)
従業員の働き方の基本ルールは、まず就業規則に定めます。ハウスルールは、店長が新しいルールを自由に作るものではなく、就業規則の内容から、その店舗で特に確認してほしい部分を分かりやすくまとめたものとします。たとえば、就業規則の「まかないの利用条件」のうち、その店舗で注意してほしい点をA4用紙にまとめて掲示する、という使い方です。
新しいルールが必要なときは、会社を通す(第3・4項)
立地や設備、営業時間、客層によって、その店舗だけに必要なルールが出てくることもあります。その場合も、店長が独自に書き加えず、まず会社に提案します。会社が内容を確認し、次のように整理します。
- その店舗特有の事情によるものなら、店舗限定のハウスルールとして承認する
- 他の店舗でも必要な内容なら、就業規則や全社共通ルールに反映する
- 法令や就業規則と矛盾する内容なら、採用しない
3 結果 どの店舗でも、基本のルールが揃う
店長が替わっても、別の店舗へ応援に行っても、従業員が守るべき基本のルールは変わりません。「この店ではこうだけれど、別の店では違う」という分かりにくさが減り、会社として何がルールなのかを理解しやすくなります。
会社にとっても、店舗ごとの独自ルールを把握しやすくなり、店舗間で統一した運用ができます。
ハウスルールをなくすのではなく、就業規則を土台として活用する。店舗ごとの柔軟さを残しながら、会社全体のルールを揃えていくための考え方です。
4 補足
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食い違ったときは、就業規則や法令が優先(第5項)
ハウスルールの内容が就業規則や法令と異なる場合は、就業規則や法令を優先します。 -
承認したルールは、従業員に知らせる(第6項)
掲示などで従業員に周知して初めて、守ってもらえるルールになります。 -
労働条件は、ハウスルールでは変えられません
休憩、賃金、休日、休暇など、労働条件に関わる内容を変えるには、就業規則の改定が必要です。従業員代表の意見聴取、労働基準監督署への届出、従業員への周知の手続きが必要になります。